武田がアメリカのバイオベンチャーを買収。
武田、280億円で米バイオVBを買収・米の研究拠点に
このSyrrx(シリックス)という会社は蛋白質の立体構造をハイスループットで結晶化、解析し、その情報に基づいて化合物をデザインする"Structure Based Drug Design(SBDD)"と言う方法で新薬を開発しており、現在Phase I とPhaseIIの臨床開発に入っている新薬候補化合物が2つ、その他にも前臨床段階の化合物がいくつかあるようです。このアプローチはBig Pharmaをはじめ色んな大手製薬メーカーが試みているようですが、聞こえてくる限りでは日本の製薬メーカーではまともにこのアプローチをとって成功している所はないようです。そして、今回の武田の目的は彼らの新薬候補ではなくてこのシステムだとか("We have a pressing need to strengthen our new drug development,'' said Takeda president Yasuchika Hasegawa in a news release.)。日本にも同じようなバイオVBはあるのですが、わざわざ大金を出してこういう形式での買収をした事情が知りたいです。(というか、なぜ今までこういった次世代の開発方法に重要な部署を作り上げてこなかったのか?と言う裏事情が知りたいです。)
日本は蛋白質の結晶解析の技術はかなりの高いレベルにあります。でも、それをビジネスにつながるパイプと考えていた人はかなり少なかった、と言う事でしょうか?
ちなみにこのニュース。カリフォルニア時間の2月7日正午時点では日経と朝日しか載っていません。Syrxxに近いLos Angels Timesには載っていませんでしたが、San Jose Mercury News, NY TimesにはTokyo発APのニュースとして取り上げられています。毎日とかは「理系白書」とかでScientificな話題には強いようですが載っていません。このニュースは経済ニュースとして扱われているかんじですね。
英語のAPの記事には日本語記事に載っていなかった情報がありました。「TakedaはSyrrxを独立したResearch SiteとしてRespectする」と言うもの。これってちょっと「ダイジョウブ?」と思いました。WebSearchをしていたらSyrxxは2002年の時点で三共とも共同研究をしています。なによりこの会社はイーライリリーからのスピンオフ企業。さらに場所がSanDiegoとなると、機密を要する新薬開発のコアとなるべき部署がそんなに手放しでいいのか?と疑問が残ります。ちなみに買収額は270Mでキャッシュだそうです。