Saturday, February 19, 2005

クローン禁止、国連委が宣言 日英仏などは反対

ブッシュ政権の方針が国連の委員会では反映されたようです。イラク問題で離れてしまった関係の反動でアメリカよりの宣言が採択されたのかと思ったら、多くのカトリック国が同調したようですね。ある意味では先端研究の南北問題が顕在化した形と言えます。
クローン禁止、国連委が宣言 日英仏などは反対
法的拘束力はないとのの事ですが、3年後の大統領選挙の結果次第では完全に力のないものにもなりかねませんよね。イギリスは無視する構えなので、現在進められている治療目的の研究には影響はなさそうです。
面白いなと思ったのは中国も反対している事。(最先端のはずの韓国はどうなんだろう?) ある意味では一番この技術を活かして産業化できる場所に発展するのかもしれません。

Friday, February 18, 2005

三共と第一製薬、10月に統合へ・持ち株会社設立

来ましたね。第3弾三共と第一が合併だそうです。
実質、三共の吸収合併のようですが、得意分野の補完になり、さらに業界第2位返り咲きだそうです。
さて次は?
中外のように外資系が入ってくるはいつか?

Monday, February 07, 2005

武田、280億円で米バイオVBを買収・米の研究拠点に

武田がアメリカのバイオベンチャーを買収。
武田、280億円で米バイオVBを買収・米の研究拠点に

このSyrrx(シリックス)という会社は蛋白質の立体構造をハイスループットで結晶化、解析し、その情報に基づいて化合物をデザインする"Structure Based Drug Design(SBDD)"と言う方法で新薬を開発しており、現在Phase I とPhaseIIの臨床開発に入っている新薬候補化合物が2つ、その他にも前臨床段階の化合物がいくつかあるようです。このアプローチはBig Pharmaをはじめ色んな大手製薬メーカーが試みているようですが、聞こえてくる限りでは日本の製薬メーカーではまともにこのアプローチをとって成功している所はないようです。そして、今回の武田の目的は彼らの新薬候補ではなくてこのシステムだとか("We have a pressing need to strengthen our new drug development,'' said Takeda president Yasuchika Hasegawa in a news release.)。日本にも同じようなバイオVBはあるのですが、わざわざ大金を出してこういう形式での買収をした事情が知りたいです。(というか、なぜ今までこういった次世代の開発方法に重要な部署を作り上げてこなかったのか?と言う裏事情が知りたいです。)

日本は蛋白質の結晶解析の技術はかなりの高いレベルにあります。でも、それをビジネスにつながるパイプと考えていた人はかなり少なかった、と言う事でしょうか?

ちなみにこのニュース。カリフォルニア時間の2月7日正午時点では日経と朝日しか載っていません。Syrxxに近いLos Angels Timesには載っていませんでしたが、San Jose Mercury News, NY TimesにはTokyo発APのニュースとして取り上げられています。毎日とかは「理系白書」とかでScientificな話題には強いようですが載っていません。このニュースは経済ニュースとして扱われているかんじですね。

英語のAPの記事には日本語記事に載っていなかった情報がありました。「TakedaはSyrrxを独立したResearch SiteとしてRespectする」と言うもの。これってちょっと「ダイジョウブ?」と思いました。WebSearchをしていたらSyrxxは2002年の時点で三共とも共同研究をしています。なによりこの会社はイーライリリーからのスピンオフ企業。さらに場所がSanDiegoとなると、機密を要する新薬開発のコアとなるべき部署がそんなに手放しでいいのか?と疑問が残ります。ちなみに買収額は270Mでキャッシュだそうです。

Tuesday, February 01, 2005

KCEA-89.1FM

今日はバイオから大きく離れます。

先ほどラジオのプリセットチューナーをいじっていたら、いつも聞いている91.1FM KCSM(NPOがやっているJazz専門チャンネル)の近くで耳なじみのある曲をやっている局を発見。KCEA-89.1FM。何でもMenlo-Atherton High School内にある地元の曲とか。しかも私の大好きなCount Basieばかりがしばらくかかっていたので、ついつい時間を忘れて昔の思い出に浸りました。と言うのも、大学に入ってから6年ほど、私はBigBandでトランペットをずーっと吹いていました。そのお陰で大学院の入試も落ちたし、バイトもろくにせずに貧乏な日々を送っていましたが、あの経験は他の何にも変えがたい私の一部として今も残っています。(と言うか、ラッパがふけない今の生活では私の一部が欠落しているのです。)

"Entertainment"と言う言葉があります。いかにに人の心をつかみ、楽しませるか?

大学に入学してすぐ、昼休みになるとどこからかピアノとアンプを持ち出してきてトランペットやサックスを持って演奏する一団がいました。その名も"The New Wave Jazz Orchestra"。それまで楽しんでいたクラシックやロックのコンサートとは明らかに異なる「ごーじゃす!」な音の洪水に私は完全に魅了されてしまいました。彼らが演奏していたのがこのKCEAなどでかかっている”BigBand Jazz"。1920年代からダンス音楽として広まったJazzのフルバンドの音楽形式が芸術の域まで高めたられたものです。一般的に、ちょっと昔のアメリカっぽいショーの音楽と言えばこの系統の「ごーじゃす」な音楽だ、と言えばイメージしていただけるでしょうか?いまでもCMなどで派手なショーっぽい曲といえばBigBandによる演奏です。

このBigBandの形式を作り上げ、二大人気バンドを率いたのがDuke EllingtonとCount Basie!各種の組曲をつくり、バンドメンバーの特色を生かしたソロとアンサンブルがすばらしいEllingtonと、きらびやかなブラスセクションと流れるようなサックスセクションのアンサンブルと小気味のよい「間」がすばらしいBasie。アメリカ人でもさすがにかなりお歳の方でないとご存知ないと思いますが、私はこの二人のバンドの音楽に6年間、浸りました。その思い出が、シリコンバレーの高級住宅街にある高校の構内から発信されている曲と共によみがえりました。そして、その事が今の自分の仕事を振り返る良い機会になりました。

どんなに演奏が上手くても、ライブの企画や司会、構成などが悪ければ人を感動させる事はできません。逆に、素人の演奏でも必死になって練習をし、明確なコンセプトのもとで演奏される音楽は、人々に感動を与えます。研究の世界でも、どんなにすばらしい研究をしていたとしても、論文や学会発表などの何かの形に「明確なコンセプトの元で」発表しなければ何にもなりません。細かな演奏技術にばかりに気を取られてお客さんをないがしろにする演奏は、誰にも見向き去れません。つまり、テクニックや複雑な仮設にばかりに凝って、ぱっと認識できるすばらしさを持たない研究プロジェクトは誰にも見向きされません。

"Entertainment"は人の心を幸福にします。そこに芸術家の独りよがりは受け入れられません。
"Experiment"も人の心、そして生活を豊かにします。そこに研究者の個人的な事情は通用しません。

Sunday, January 23, 2005

蛋白曼荼羅

だいぶ気に入りました。
もし、よろしければ皆さん使って下さい!

プロテオームとプロテオミクス

日経BP社が作っているBiotechnology JapanのWebsiteで
BTJ/Targeting Proteomics Mail Service
が始まりました。
第1回を読んだのですが、超面白かったです。
夏目さん(産総研)の語り口も大概ですが、それよりその内容。そこまでやるかと言うくらいの検出機器、サンプルの品質管理の達成のストーリーとその達成度は外を寄せ付けません。これこそ、日本を代表し、保護してもっと進めていくべき倍の基礎技術だと重います。さいきん、細胞や生態のイメージングが非常に流行っているのですが、日本のお家芸とはいえません。せっかく測定機器の開発技術も、サンプルの作成能力もあるのだからここに何とか夏目さんを始めとする30-40台のバリバリの研究者の主導で(実働部隊は20代後半)、がんがんと解析を進めていただきたいものです。

ところで最近同僚に「プロテオームとプロテオミクスって何が違うの?」と聞かれました。「プロテオーム」と言う言葉はオーストラリアの研究者でProteome SystemsのFounderであるMark Wilkinsが作った造語で、ゲノム、トランスクリプトーム、メタボロームと同じく、「プロテイン」と多くのものを一くるみにして呼ぶ「オーム」という概念をあわせて作られました。つまり、蛋白質(プロテイン)の「曼荼羅」のようなものです。日本語ならさぞかし「蛋白曼荼羅」ですね。そして、「プロテオミクス」はゲノミクスなどと同じくその対象を研究する手法であり、研究そのものも意味するようになっております。つまり「蛋白曼荼羅学」と言う事ですね。

Vioxx

関節炎およびリューマチの薬、Vioxxに関する話題を赤間さんA-POTが書いています。Celebrex,イレッサなど、副作用ため、注意や回収が行われている新薬がいくつか出てきています。週末にテレビを見ていたところ、3大ネットワークではなかったのですが、Vioxxの安全性に関する警告を訴えるテレビCMが流れていました。Merck社の物かどうかまで確認できなかったのですが、この対応の早さ、やはり米国の企業と言う感じがしました。

大学に新ポスト案、助手改め「助教」 文科省が法改正へ

大学に新ポスト案、助手改め「助教」 文科省が法改正へ

他の日本人ポスドクとも話していたのですが、一応、将来の職として真剣に考えている身としては、
この名前、受け入れたくないです。
何が根拠で生まれたのかわからないし、どうやって使えばいいのかわからない… どんな言葉にしたって英語名はどないしようもないのです。アメリカに来て違和感のある職名は別に助手だけではありません。同じ職制がないので名前を変えても仕方がない。例えばドイツでは、「PIになるのはほとんど40歳を越えてからだ」と知り合いのドイツ人ポスドクが言っていました。でも、ドイツでポスドクをしている(例えば)39歳の研究者が27歳くらいのアメリカのポスドクとは同列で扱えないのは間違いないです。問題は、日本だけでないし日本の国立大だけでもない問題になぜそれほど気を遣うのか?よく企業派遣の方々がスタンフォードに来ている"Visiting Scholar"という呼称にしても、そのまま客員研究員と訳すのはちょっと違う感じがします。でも、皆さん何とかやっています。それに、実際に研究の補助だけをやっている助手さんはどれほどいらっしゃるのでしょうか?私は一人も見たことがありません。つまり、区別する相手が分からない。

呼び名だけではなく、実質的な意味での改革を望みます。

Saturday, January 15, 2005

GM Cow

BioExchangeのニュースから。ニュージーランドの研究者が20%カゼインを多く含む牛乳を出すGMウシを開発したそうです。この牛乳でチーズを作るとより多くチーズができるとか。つまり、農場で同じ頭数のウシを飼っていたとしても、ざっと2割稼ぎが増えるわけです。研究者として少し意外だったのは、これまでに掛け合わせなどで牛乳の出の良いウシが数百年かけて作られてきたにもかかわらず、まだその能力を強める可能性が残っていたと言う事です。ご存知の通り、家畜は野生種とはかけ離れ、人間の手助け無しには集団を維持する事はできなくなっています。つまり、十分遺伝的に開発されていると考えられます。そういった背景もあって、これまでは経口ワクチンなどの開発は多かったと思いますが、チーズの生産と言う大きなマーケットを狙った技術は非常に興味深いです。

そして当然問題になってくるのがGM食品に対する消費者の反応です。イギリスでは
A recent report from UK consumer group Which? showed that six out of 10 people (61 per cent) polled said they were concerned about the use of GM material in food production - up from 56 per cent in 2002.
と言う状況になっており、GM食品に対する風当たりはきつくなっているなかでどうやって市場を開拓するか?研究者には有益かつ安全な製品を開発する以上に、説明責任が求められていると思います。

研究マネジメントの改善手法

所属している大学の日本人ポスドクが集まってセミナーをしています。↓
Life Science in Japanese(LSJ)
今回、日本のコンサルタント会社の仙石さんという方にセミナーをお願いしました。題して「研究マネジメントの改善手法」。1970年代に比べて、2000年以降には新薬の創出効率が20分の一程度に下がっているそうです。(投入した開発費用に対する新薬の数が劇的に下がっていると言う事)。製薬企業は昔に比べると、高い費用をつぎ込んで新薬を開発してもなかなかものにならず、そして出した新薬がだす利益は昔と同じかそれ以下… この状況を乗り切るために上手くR&Dを回すにはどうすればいいのか?というのが今回のセミナーでした。様々な指標で評価をすると、売れる新薬を効率よく出している企業、出せない企業の差がはっきりとしているようです。大学にいるだけでは知る事がなかったので皆さん興味津々。そして、その評価手法が自らの研究プロジェクトに当てはめて効率化を図れないか?と質問が相次いでいました。

ところでその仙石さん、私と同じ時に学位を取られたそうですが、その後すぐにコンサルタント会社に入りキャリアを重ねておられます。意外だったのは、その学位が分子生物学でバリバリの基礎研究者だったことです。日本人でもこういう人が出てきたんだなぁと多少感激して聞いておりました。でも、こういった人材はもっともっと求められていると思います。仙石さんの今後の活動に注目です。

Wednesday, January 12, 2005

Apple - Mac mini

始まりました、Macworld SF 2005。
PCを使っているくせにMacに未練たっぷりの人間としてはApple - Mac miniが非常に惹かれます… $500切ってます。但しDisplay、Keybord, Mouseなし。でも、iWorkとかも面白そう…車さえまともで金がかかっていなかったらこんなのぽいっと買えるんですが。

ちょっと前から話題になっていたフラッシュメモリ形式のiPodも出ましたね。ただ、これまでのMP3プレイヤーと何が違うの?って感じもが無きにしも非ず。ま、こちらも$99と手ごろなのはいいですが、別に今のから買い換える気は起きません。